【ケの日のこと】日曜日の朝は、薄すぎるコーヒーの香りとともに

【ケの日のこと】日曜日の朝は、薄すぎるコーヒーの香りとともに

「家族と一年誌『家族』」編集長 中村暁野


第14話:日曜日の楽しみ


 

ここ最近、日曜日の朝の楽しみは「サンデーカタネコーヒー」を飲むことです。

サンデーカタネコーヒー、それは娘の花種(カタネ)がハンドドリップで淹れてくれるコーヒーのこと。お湯を沸かして、豆をガリガリひいて、ドリッパーにいれて、お湯を注ぐ。そんな娘の姿を横目で見ながらパンケーキやオムレツを焼いたり、サラダ用の野菜を切ったり。一刻を争う平日の朝にはなかなか出来ない「ザ・朝ごはん」をゆっくり支度するのもなかなかいいもので、日曜日の朝は「ケの日」のちょっとした区切りであり、ささやかな楽しみなのです。

娘がコーヒーを淹れてくれるようになったきっかけ。それはわたしが家族と共に作っている、「家族と一年誌『家族』」(ひとつの家族を1年に渡って取材して1冊にまとめるというコンセプトの雑誌)1号で取り上げた谷本家の息子アナンくんの存在でした。彼がコーヒーを淹れ始めたのは小学3年生の時。今やANAN coffeeの店主として、立派にお店を切り盛りしています。取材以降も交流を続けアナンくんを身近に感じている娘は、小学1年生の終わりに「アナンより美味しいコーヒーを淹れる!」と高らかに宣言。かくしてサンデーカタネコーヒーが始まったのでした。

大胆に宣言したものの、コーヒーの淹れ方を知らない娘に一応のコツを伝授しようとした我々夫婦。何事も基本を知るというのは大事です。しかし、意気込む娘は両親のアドバイスをことごとく無視。ひたすら独自の方法にこだわり続け、そうして生み出されたのが「フロント」というスタイル(命名も娘。なぜフロントかはわかりません)。フロントスタイルは豆に対して明らかに多すぎる湯を一気に注ぎ淹れるという方法です。その薄さはいわゆるアメリカンコーヒーの3倍くらい……。色も香りも飲む気が削がれるほどに薄いのです。お願いだからフロントをやめてまずは普通のコーヒーをマスターして欲しい、と毎週のように頼み、やっと最近「蒸らし」をしてくれるようになりました。

美味しいコーヒーへの道のりは長い。でも、その道に立ち会えるのもまた楽しいじゃない(と自分に言い聞かせています)。それでもやっぱり、来週こそ薄くないコーヒーが飲みたい、とささやかな期待を持っています。

 

【写真】中村暁野(1,3枚目)

中村暁野(なかむら あきの)

家族と一年誌『家族』編集長。Popoyansのnon名義で音楽活動も行う。7歳の長女、1歳の長男を育てる二児の母。現在は『家族』2号の取材を進めている。2017年3月に一家で神奈川県と山梨県の山間の町へ移住した。http://kazoku-magazine.com

 

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